魔法使いさんのピックを拾ったあの日から、
ずいぶん拗ねてる人がひとりいるわ。

ええ、それはもちろん王子様
恥ずかしがりで優しいくせして、こういうことになると
すーぐやきもちやくんだから。
首カザリを見るたびに悲しい顔されちゃ、溜まらないわよ。

「ねえ、お姫様？」

きたきた。それ外して！とか言われちゃうのかしら。

「おいで？」

あら、ご機嫌治ったの？両手広げてわたしをぎゅーってしようとしてる。
ゆっくり近づいて胸にくっつくと、…何か音がするわ

「これって、鈴？」

「僕はギターも弾けないし、唄もうたえないから。
唯一できる楽器って、これだけかなって…」

わたしの首もととおんなじように、首にちっちゃな鈴を下げて
背の高い王子様だから、ちょうどそれがわたしの耳もとで鳴るの

「ふふっ。すごい音ね」
鈴も、心臓のどきどきも。

「え、あ、うるさかった？」

焦るきみを横目に、左耳のピアスを外して
もういちど、きみの音色にぎゅってして

たまにはやきもちも、わるくないなぁ。なんてね。

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作成者	easter
作成日	2011年11月12日 10:37

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