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世界を魅了した「装飾」の多様性 京森康平がホワイトストーンで初個展

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We can always talk here.

京森康平の世界の根幹をなすのは、古今東西の装飾美術のあくなき探求とその再解釈である。これまで人類が繰り広げてきた装飾の歴史を紐解き、再定義し、それらが内包する物語を平面で表現してきた。ホワイトストーンにおける初個展となる今展では、近年取り組む2つのシリーズからの新作とインスタレーションのみならず、京森にとっても新たな取り組みとなる参加型の作品も展開。いずれも、現代美術に新たな血脈を採り入れる試みだ。

装飾に魅せられる理由を、「装飾が持つ視覚的に物語る力の強さ、人の手によって注ぎ込まれた膨大な時間の密度の高さ」と京森康平は語る。展覧会タイトル『We can always talk here.』が示唆するのは、その視覚言語としての可能性、個々の装飾が内包する超越性であり、ひいては文化や言語、時代や人種の差異による断絶を乗り越え、観るということにおいては誰もが平等かつ公平な繋がりを持てるという展望である。

「横断や超越への志向」は、京森の創作に形を変えては立ち現れる。一例として、今回展示されるシリーズ「FLOWING」も、日本ならではの自然の風物「花鳥風月」を現在に即して咀嚼し、ドリッピングで肉感性を施しつつ、非西洋的でアジア的な時間軸 ―作家の言葉を借りれば「過去から未来にではなく、未来から過去に向かって流れる時間の波の、その最高の刹那を切り取り、現在に定着させること」―で視覚の物語を形成する。そこでは、時間は人間のうえに覆いかぶさる存在ではなく、むしろ来迎するもの ―向き合い、挑戦的な関わりを持つことが可能な対象―となる。

一方、印章をその成り立ちから紐解き転生させたシリーズ「R.E.P.」は、装飾と人間の関係性を俯瞰する研究が作品化したもの。印章とは「文字の発達以前、人間が所有を表現するための最も素朴なシンボルであり、他者や世界に対して自分自身の関係を刻み付ける能動的営み」であると京森は語る。そこに鑑賞者の役割が紐づけられることで、作品は参加型のものとなる。装飾と身体の不可分性の顕著な具現が、ガウディのサグラダ・ファミリア。作家いわく「ひとえに壮大であり、それは人間自らが、しかも大量の人間の身体が、各々が持つ膨大な時間を注ぎ込むことによってこそ獲得できるもの」。京森にとって装飾性のアウラとは色彩や構図の次元に留まらず、人間の身体的所与の延長線上に生まれ得るものなのだ。鑑賞者が自らの印章によって実際に参加することで、その魔術的な力はおおいに試されることになるだろう。

京森康平が常に心に留めるのは、特定のコンテクストに縛られることのない、アートを介した観想的でシームレスな繋がりである。例えば「FLOWING」では、神霊を模した能面を図示的に引用しつつ、多元的な世界観―本来の日本的アニミズムに基づいた、存在の多様性を肯定する世界観を提示。それらはまた、テクノロジーや社会通念の刷新などの時代の要請に揉まれつつ、互いの距離感を変え、将来的にアートが内包する可能性をも引き出しながら様々な代替可能性を示唆してゆく。装飾文化を換骨奪胎し、「開かれたアートの場」として再構築する京森康平の世界を、この機会に是非ともご体感下さい。

開催日 2021年10月08日~2021年10月30日
会場 ホワイトストーンギャラリー銀座新館
会場住所 東京都中央区銀座6-4-16 地図
地域 東京 / 千代田区・中央区(銀座など)
営業時間 営業時間 11:00 〜 19:00
休館日 日曜、月曜
東京都中央区銀座6-4-16

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