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イベント訪問レポート
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東京ドームでの国際キルト展が突然終了しガッカリでしたが、近似の展が横浜で開催されました。様々な芸術の中で私が最も感動するのは、キルトの世界。圧巻の手仕事です。

どの作品からも、作家の意図したイメージがしっかりと伝わってきます。独りよがりではなく”人に伝わる”は重要です。そのためにはイメージを詰めて、それに合致する要素だけを選ぶことが必要です。例えばモノトーンでいこうと思ったら、それ以外の色を排すなど徹底的に整理する。時には他の魅力的なものを我慢することが必要になります。衝動的に目移りするのではなく、自分はどうしたいのかを常に問いながら徹底的にやってこそ、初めて人に伝わる作品ができます。キルトからはそんな作家の姿さえも見えてきます。

しかしイメージ通りに制作するのはとても難しいものです。作品を構成している要素が多ければ多いほどバランスを取る課題が増えるためなおさらです。キルトを構成する要素は、布の色・柄・質感、平面分割のデザイン・設計、裁縫の技術・・・と多様です。ある程度まで作ってみないとリアルな完成イメージは見えてこないでしょうし、途中でイメージから外れてしまうこともあるでしょう。でもやり直すのもキルトは簡単ではありません。そんなひときわ難しい芸術を、多くは普通の主婦がやっているのです。

キルトのデザインは、モチーフの部分とそれらを組み合わせた構成になっていることが多いです。モチーフ部分はそこだけですでに完結していて、一つの世界観を感じることができます。そこから視点を広げていくと、そのモチーフが曼荼羅のように組み合わされ、調和やバランスを持ちながら全体が成り立っています。作者は、部分を見て全体を見て・・といった作業を繰り返しながら制作していると想像できます。
私が花を生ける時がそうなのです。
手元の部分に集中しながらも、それが全体としてどうなっているかを同時に考えながらやっています。部分は繊細に丁寧に、でも全体としては大胆にダイナミックにと、相反する両方を同時に行なう作業です。細部にこだわりながらもそこに囚われることなく、冷静に視野を広く持つという心がけは、ちょっとした修行のようでもあります。キルト制作もこれをやっていると思われます。

また、キルトは同じパターンの繰り返しや左右対象のデザインが多く使われます。パターンを音楽のようにリフレインさせてリズムや動きを出したり、西洋庭園のように左右対象の図形や模様に仕上げたりします。
私も図形や模様を抽象絵画にしています。図形や模様は、存在の元々の形であり、潜在的な作用があるように思います。

分断した布を再構成して生まれる調和的宇宙、とても見応えがあります。

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