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サン=テグジュペリ
夜間飛行
エドワード・ホッパー
ナイトホークス
ジョージ・シーガル
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夜は、海のようだ。

誰しもが、その濃紺の深淵に潜行する時、世界から儚(はかな)く隔絶される奇妙な繭に包まれる。

それは寂しさであり、優しさであり、可能性と不可能性の潮(うしお)を混濁させる夢幻のすみかだ。

ただし、この繭は、夜そのものによって醸成されるのではない。

それは、蛍光塗料を塗られた羅針計の針のように、闇に発光する性質を持っているから、不躾な陽射しの元では、あまりに見えにくいだけなのである。



そういえば、サン=テグジュペリの『夜間飛行』の中でも、漆黒の大空を暗い海原に例え、夜の機影の頼りなさを船の航海に例えた比喩が度々登場する。

『夜間飛行』という作品は、〈夜〉とは何か?ということを考えさせる意味でも、忘れてはならない作品であった。
そこでは、時間的にも空間的にもあらゆる意味で、圧巻なスケールを駆使して、たった一つの夜を浮き彫りにしている。

取り立てて意味は無いにしろ、作者、サン=テグジュペリの没年は今の僕と同じ歳、そして偵察飛行に出かけたまま消息を絶った日は、たまたま、僕の誕生日と同じ日なのである。


プロットの双頭を成す、主人公のひとり、夜間航空郵便のパイロット、ファビアンは、パダゴニアからブエノスアイレス間を飛行中、不測の暴風雨に巻き込まれる。
事態は次第に切迫してゆき、刻一刻と、希望という希望は彼の指の間から砂のようにこぼれ落ちてゆく。
やがて万策尽きる中、もはや前進する意志そのものの中に、微かな生の手ごたえを見出すのみとなった。
そして最終的に、それが〝罠〟と知りつつ、ファビアンは幻のように煌めく神秘の星々へと向かって上昇してゆくのであった。


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2012/11/15 06:19 投稿

ロングテールズFILE;vol.31 その男、トラヴィス・ビックル。up しました!

ニューヨーク、というと、まず最初に...